色は匂へど、散りぬるを。台風一過の朝、地面を見つめる。
夜の間に10年に一度の規模の台風は東京を過ぎて行っていたらしい。
目が覚めたときには、朝日がカーテンの隙間から差し込んでいた。
山手線が内回り・外回りとも止まっているということなので、会社に一本電話を入れたところ、運転再開を待ってゆっくりきなさいとのことだったので、お言葉に甘えて運転再開の情報をTwitterで検索しながら待機。
家を出たら、一昨日くらいまでよく香っていたあの花のかおりが薄まっていて、地面には橙色の4枚の花弁がまるで砂糖で出来たカラースプレーのトッピングみたいに散らばっていた。思わずしゃがみ込んで写真に収めた。
金木犀は、その木の姿は見えないのに空気の中にたっぷり香りが含まれていて、どこにいてもその気配がする。不思議な植物だ。
少し気温が高かった先週、暑い空気の中であの香りを嗅ぐとむせかえってしまうので、初秋の気温にちょうど良い花のかおりなんだねという会話をしたことも、また来年の今頃思い出したりするのだろうか。