さよなら、きつね。おはよう、かもめ。

引っ越しました。

めざましが鳴る前に、太陽がオレンジと赤の中間くらいの薔薇の花みたいな色に部屋の中を染め上げるので、その光で目を覚ますようになった。

前の家は目の前にお稲荷さんがあって（というか家の周り神社とお寺とお墓ばかりだった）、毎朝前を通るときに、「今日も平和で元気にすごせますよう、お守りください」って、心の中でなんとなく挨拶をしていた。

きつねには会えなくなったけど、運河にかかる橋を渡らないと会社にたどり着けないので、大量のゆりかもめに朝から遭遇する。一羽一羽を個別に見分けることは可能なのだろうかなどとひとりごちながら、ぷかぷかとみんな揃って同じ方向を向いて水面に浮く彼らをぼんやり見つめてはみるものの、これは多分何年かかっても無理そうだなあと既にあきらめている。

色んな名前の付いた橋を「きょうはどれを渡ろうか」なんて、違うルートを探りながら通勤する毎日は、とてもたのしい。（一番嬉しいのは、東京モノレールや、車両所に帰っていく東海道新幹線、東京臨海新交通臨海線ゆりかもめが毎日見られることだったりするけど。）