こっそり教えたい大好きな場所。現代と過去が調和する「重森三玲庭園美術館」。

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重森三玲。(しげもりみれい、と読みます。)

彼は、昭和を代表する庭園家(作庭家、庭園史研究家)。彼のつくる庭は、力強い石組みとモダンな苔の地割りで構成される枯山水庭園。代表作は、京都の東福寺方丈庭園、光明院庭園、大徳寺山内瑞峯院庭園、松尾大社庭園などがあるそうです。詳細は恐らく公式?のサイトをどうぞ。

わたしは、一年前の春に彼のことと、彼が昔住んでいて今は庭園美術館として一般公開されている「重森三玲庭園美術館」のことを教えてもらい、知りました。そして、写真で見るだけでは物足りず、一年前の夏休みに訪ねてきました。

美術館は京都大学のすぐそばにありました。普通に民家が建ち並ぶ中に、土壁の上から緑の葉っぱが漏れているおうちがあり、そこが「重森三玲庭園美術館でした。なお、美術館はふらりと訪れても入れないのでご注意を。事前にメールで見学申込をしなければいけません。美術館という名前ですが元は個人邸ですので、とてもこじんまりとしています。私がお邪魔したときも、見学者は私以外にあと数名といったかんじでした。

美術館を訪れた日のことを思い出しながら書いてますが、集合時間前まで入口であろう門は固く閉じていてホントにここでいいんだろうか・・・と不安になるくらい普通のおうちです。
時間になると、予約をしていた人達が揃うと門についている小さなドアが開き、招き入れてくださいます。お庭のお手入れも、見学者の案内も全部、重森三玲さんの親族の方がやっていらっしゃるそうです。


見学は、まずお庭を眺められるお部屋に通していただき、そのあと茶室の方にも入れていただきました。三玲さんのお孫さんである重森三明さんがとても丁寧に説明をしてくださいます。撮影可能な場所もすこし限られていたりはしますがその時撮ったものを少しご紹介。

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この庭園は枯山水にめずらしく、枝垂れ桜と山桜を植えてあるのは三玲さんの奥様が桜の花がだいすきだったからだそうです。すてき。

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京都では7月にこういうふうにあじさいをドライフラワーにしたものをこんなふうにして、柱の上の方につるすそうです。無病息災のおいのりのようなものだそうで。

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イサムノグチさんから贈られた照明。天井の格子もなにか言われがあった気がするけどわすれた。。

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止め石、だったかな。飛び石の道が複数ある時に、使わない、立入禁止の方の飛び石にこの止め石を置くのだそう。これがあったらそれより先はいっちゃだめだよっていうお庭のルールらしい。

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あの襖絵と似てる。波。

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左手がしだれ桜。真ん中奥の木はなんと、銀木犀だそう。なぜ金木犀じゃないのですか?と尋ねると、かおりが銀木犀の方がよいから、とのこと。中秋の名月の次の満月のころに満開になり、よいかおりが漂う中、月を愛でるそうです。うらやましい!

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なみなみと、半円シマシマと、竹林のような斜め。

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古いモノを解釈し、かみ砕き、その上で新しいものに進化させる。そうして創り出された調和を目の当たりにして、とても感激したのを今でも覚えています。そして、先日この場所にふたたび訪れる機会があり、秋の訪れを纏ったお庭に再会してきました。

その日は雨でした。秋雨に濡れていく石が色を変えていく様を見ていた時間は、とても豊かでした。三明さんがその日、お話ししてくださったことのなかで心に残っているのが、「冬は葉が落ちて、庭の骨格が見える。だから、冬に見てもうつくしいとかんじる庭は本物です」ということ。冬の手前の季節でしたが、夏に見た景色とはちょっと違ったけど、やっぱり良いお庭でした。だから本物。

あと、なかなか、わたしの言葉や写真だけでは良さを伝えられないのがもどかしいのですが、その場所が取り上げられている番組があるらしいので、明日夕方お時間がある方は是非見ていただきたいです(宣伝)。

あと、わたしのようにいてもたってもいられず、お庭を見に行きたい!と思われた方はこちらを読んで是非見学申込を。

タイトルに書いたとおり、ほんとにこっそり教えたい大好きな場所のひとつです。
夏と秋につづいて、春と冬のお庭にもいつか訪れたいな。

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