【大人の遠足・Tottorip】鳥取の自然が生んだ「砂丘」と芸術が交差する「植田正治写真美術館」 #tottorip

もうちょい引っぱります、【大人の遠足・Tottorip】!
ちょっとタイトル、格好つけ過ぎましたがw 本日は「植田正治写真美術館」と「鳥取砂丘」にまつわるエトセトラなお話です。

さて。鳥取滞在3日目は朝から雨模様。。。

旅館を出てマイクロバスで美術館に到着したら、雨は午前中に雪へと変わっていて4月半ばとは思えない気温に。。。

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植田正治写真美術館の2階には、鳥取の名山・大山を美しく眺められるビューポイントがあるのですが、生憎の天候のため大山の姿は見えず。でも、建築家・高松伸さん設計の打ちっ放しのコンクリートで作られた壁に囲まれた池と水面を叩く雨粒とその波紋という風景というのも なかなか良い感じでした。

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美術館の館内には、植田正治さんがが生涯に撮影した作品が公開されているほか、2階にはカメラの内部にいるような感覚が体験できる映像展示室があります。1階にはミュージアムショップもあります。


では、植田正治さんというのはどんな写真家さんだったかというと…

植田正治(1913-2000)
写真界の巨匠・故・植田正治は、世界で最も注目された日本人写真家です。生地(鳥取県境港市)を離れず、山陰の空・地平線・そして砂丘を背景として、被写体をまるでオブジェのように配置した植田正治の演出写真は、写真誕生の地フランスで日本語表記そのままにUeda-cho(植田調)という言葉で広く紹介されています。
via @植田正治写真美術館オフィシャルホームページ 


お恥ずかしながら、鳥取に行くまでお名前はおろかどんな写真を撮られる方なのかも全く知りませんでしたが…地元鳥取に根ざし、自分のスタイルを築き上げた彼の作品はまるで抽象絵画を写真という手段で表現したようで、とても不思議な印象を受けました。
また、自然・偶然性を切り取るという手法ではなく、綿密な計算で図られたシーンを切り取るという「演出写真」という方法で表現する「Ueda-cho」 という芸術はとても新鮮でした。

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via @写真家・植田正治に捧げるオマージュ展 | ゼラチンシルバーセッション


彼が選ぶ被写体や背景は、近所のこどもや地元鳥取のなんでもない場所だったりするのですが、この家族写真なんかは、コラージュしたみたいだし、遠近感もわからないし、娘さんが水仙の花を手にもってるのも不自然なポーズだし、息子さんなんてそもそも前を向いて写ってないし、自由すぎる&遊び心が豊かすぎるのですが、そこに味があるというかなんというか。

実は私、展示室に足を踏み入れて彼の写真をひとめ見た瞬間に 「ファッション雑誌のグラビア写真みたい」と思ったんですが…実は「ジョジョの奇妙な冒険」の作者である荒木飛呂彦先生が、「ジョジョ立ち」の起源について、

"一番参考にしているのは、女性誌ですね。女性誌のモデルさんって、けっこう在り得ないポーズをとっているので、面白いんですよ。"

via @ジョジョ立ちの起源は女性ファッション誌のモデルだった | Fashionsnap.com

と言及されています。

その話を頭の中で無意識にリンクして【作為的なポージング】という点において植田正治さんの写真にそのような印象を持ったのかもしれません。でも、あながちその感覚も間違っていなかったようで、砂丘を背景にファッションブランドTAKEO KIKUCHIのカタログを撮影したり、雑誌「ブルータス」の巻頭ファッションページやアニエス・ベーの広告写真など、ファッションブランドに関わる写真も撮られていたようです。

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via @植田正治 「砂丘モード」 | タカ・イシイギャラリー

この写真を撮るのは結構苦労をされたそうです。ハットが浮いてるように見えるよう帽子をフリスビーみたいに飛ばして何度もトライしたそうなのですが、なかなかうまくいかず。結局紐で吊って植から垂らして位置を合わせて撮ったらしいですw
演出写真、大変!


彼がこういった写真を撮るきっかけになったのは、1983年に最愛の奥様が他界されてから写真への意欲が失われそうになっていた時に、 広告業界のアートディレクターであった息子さんの提案があったからだそうで。

後に「砂丘モード」シリーズとしてまとめられたこれらの作品は、失意の中から再び創作意欲を取り戻す 大きなきっかけになった作品だったとのこと。なんだかマグリットの絵みたいな世界観だなあ…。

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植田さんの写真を見て、私も鳥取砂丘で真似して「演出写真」を撮ってみたい!と思ったのですが、今回のTottoripでは、鳥取砂丘は初日、写真美術館は3日目という行程だったので「演出写真」のことを知ったのが遅かった…。

というか飛行機大幅遅延のせいで実際鳥取砂丘での滞在時間は約20分だったので、知ってても時間的に無理だったと思われますがw

あと、個人的に鳥取砂丘には思い入れがありずっと行きたかった場所だったのです。理由は、ハチクロというマンガに鳥取砂丘が登場するから!というだけなのですが(聖地巡礼的思考です。はい。)w男性の登場人物でいちばん好きな野宮さんというキャラクターとこれまた女性の登場人物でいちばん好きな山田さんの恋の駆け引き(山田さんは天然なのでなにも駆け引いてないんですがw)が描かれる大事な舞台なのです、鳥取砂丘。

ハチミツとクローバー 8 (クイーンズコミックス―ヤングユー)

ハチミツとクローバー 8 (クイーンズコミックス―ヤングユー)


たしか登場するのは、8巻だったはず。

で。ちょっと脱線してしまいましたが…植田さんの演出写真のことを知らなかったのに、演出写真っぽいことはちゃっかりやっておりました。

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コグレさんに「鳥取砂丘で鳥取のポーズ、いってみよう!」と(無茶)振りをいただき、とっさに取ったポーズがこれw▲

もうひとつは、滞在時間僅少のなか果敢に馬の背に挑むいしたにさんの姿がちっちゃすぎて思わず指でつまんでみたのがこれ▼

Tottoripぶらぶらブロガーズの誰かが 「鳥取砂丘で、演出写真セットみたいな感じで帽子とか傘とか売ればいいのに!」と言ってましたが、個人的にはナイスアイデアなんじゃないかなあと思いましたw 実際売ってたら私だったら買っちゃうと思います!次回鳥取砂丘に行く機会があったら、植田正治リスペクト演出写真にトライしてみたいと思います。

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あと、鳥取砂丘に行ったら自販機で売ってるタオルはマストバイです。

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最初っから裏表がわからないくらいのヴィンテージ加工済み(違)(200円)


最後に余談ですが…旅から戻って植田さんのことを調べていたら、なぜか福山雅治さんの名前がサジェストされるので「なんでだろう」と思っていたら、植田さんが福山さんのCDジャケット写真を撮影していたりといったところでつながりがあり、また福山さんが植田正治さんを師として仰いでいるというエピソードを発見しました。

過去に「福山雅治」展/THE EXHIBITION OF MASAHARU FUKUYAMA & SHOJI UEDAという展覧会を行ったこともあるようですが、植田正治さんがジャケット撮影など4度に渡るフォトセッションで撮り降ろした作品を集めた展覧会だったようです。

また、植田正治写真美術館では5月3日(金)~6日(月)に生誕100年記念ということでこんなイベントがあるようです。

植田正治生誕100年記念フォトフェスティバル】
①コンサート&シンポジウム「語る、奏でる 植田正治の世界」
②撮影地バスツアー
③ワークショップ:巨大写真を作ろう!(第2回)
キヤノンEOS&PIXUSデジタルフォトゼミナール
★満員につき、申込締切
⑤ニコン ポートフォリオレビュー
富士フイルム アルバムカフェ

撮影地バスツアー、おもしろそう!
ちなみにバスツアー申込受付の締め切りが 【4月19日(金)迄】なので、興味のある方はお早めに。

植田正治写真美術館
住所: 鳥取県西伯郡伯耆町須村353-3
電話: 0859-39-8000
休み: 火曜(祝日の場合は翌日休、展示替えによる休館あり、12~2月は休館)
営業時間: 9:00~17:00 (入館は16:30まで)
料金:大人800円・大学・高校生500円・小中学生300円
駐車場:100台・無料
交通: 米子自動車道 米子IC、溝口ICより車で約15分

 


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